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本作 小田切駿 「犬」

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山本浩二先生からのコメント

小田切駿「犬」

「キュビスム」は1908年にピカソとブラックという二人の画家によって始められた
大きな実験である。その意図が3次元の「存在感」を2次元の平面にいかに表現するかという、アルタミラ洞窟壁画以来の絵描きの夢であるとしても、その手法はいささか冒険的すぎるように見えた。しかし今日の再考の結果としては演習Eの中でさえ多くの「派生」が生まれ、私たちはキュビスムが可能性の根であると知ることになる。

作者の「犬」は一見漫画の齣割りのように描かれているが単純ではない。よく見ればひとつひとつにキュビスム的実験があり、描写と話の展開は並行して進んでいく。絵の中では話=物語はいつも時代を背景として個人的なものであり、その中に伏流する造形は歴史を越えて変容していくが、作者はそのことをよく理解していて、しかもそのことをこんなに軽やかに表現してくれた。「鳥獣戯画」−「北斎漫画」−「曾我蕭白」−現代と繋がる日本の漫画の正当な歴史の中に、彼もまた存在している。
絵の中で犬はいつもこちらの作者を見て愛情を訴える。作者は愛犬をいかにしてキュビスム的にデフォルメするかを考えて鉛筆を走らせる。そのずれも微笑みを誘うが、最終齣の「これでどう?」という感じの犬のユーモラスな描写には圧倒される。
それにしても、1、2齣目がこの犬のリアルな姿であるとすれば、私たちはいつデフォルメされた後の犬の姿に親しみを感じるようになったのだろうか。非凡な表現力であると思う。
by enshu2012 | 2013-01-16 10:20 | E4


2012年度 早稲田大学建築学科3年生の選択授業 『設計演習D/E』のアーカイブブログです


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早稲田大学 設計演習D/E

教授    古谷誠章

講師    山岸綾
      桑原賢典
      佐藤オオキ
      鬼木孝一郎
      
特別講師  山本浩二

TA     M2 竹花洋子
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